「第20回ヘルスカウンセリング学会学術大会」教育医事新聞2013年7月25日掲載
第20回ヘルスカウンセリング学会学術大会 9月、浦安
不透明な時代のウェルビーイングとは 世界観・人生観見直す意義を説く
2013年7月25日、教育医事新聞に、第20回ヘルスカウンセリング学会学術大会開催に関する記事が掲載されました。
以下に記事内容を転載いたします。
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第20回ヘルスカウンセリング学会学術大会が9月21、22日の両日、千葉県浦安市の明海大学で開かれる。テーマは「見通しの立たない時代のウェルビーイング」。
会長の宗像恒次・筑波大学名誉教授は「政治経済、自然環境、社会制度などすべてにおいて見通しの立たない時代だからこそ、どう生きればいいのか自分に見通しをつけなければいけません。今までの世界観や人生観を見直し、笑顔で自分らしく生きるウェルビーイングの方法を考えるきっかけにしたい」と語る。
大会では宗像氏が大会テーマに沿って基調講演。シンポジウムは「病がもたらす自己探求と愛情の絆」と「見通しの立たないストレス状況を支援する」の2題を予定し、病やストレスの克服やその支援を通して今までの自己の生き方や世界観・人生観を見直すことの大切さやその意味について論じる。
「人は、がんやうつ病など病になると本人も家族も今までの生き方を問い直します。すると多くの人がストレスを抱えやすい生き方をしており、家族との間に笑顔がなかったということに気づくのです。実は最近の研究で生活習慣病でも精神疾患でも、すべて『慢性炎症症候群』であることが分かっています。炎症は慢性ストレスが作り出しているのです」と宗像氏。
ではなぜ人は自分らしく生きることができず、慢性ストレスを抱えてしまうのか。宗像氏は「実は自分自身をつくっている60兆の細胞の中に遺伝子の異なる非自己の『キメラ』細胞の存在(多くは親族由来の細胞)が最近の科学研究でわかってきています。自分の中に別の自分がいるからコントロールできないのは当然ですし、キメラは自分ではないので免疫が攻撃するわけです。私はこれが慢性炎症の直接の原因だと考えています」と話す。この考え方については、一戸辰夫・広島大学原爆放射線医科学研究所教授による特別講演でも詳しく論じられる。
宗像氏は「支援する側も既存のパラダイムでの治療には限界があることに気づかなければならないと思います。私自身はSAT法(情動認知行動療法)によって自分の中のキメラと向き合い、よりよく生きる方法を提示していきたい」と話している。