宗像恒次筑波大学名誉教授による講演会
「放射能に負けない子どもと家族のストレスケア」
いわき市立久之浜公民館のある久之浜・大久地区は、震災に伴う地震・津波・火災により甚大な被害を受けたことに加え、原発から30q圏内であることから深刻な風評被害にさらされており、今だに住民の大半が避難生活を続けている状態です。そのため、特に小さな子どもを持つ家庭では、放射能に対する不安のあまり、避難先から戻るに戻れない環境にあり、中には、子どもだけでなく、お父さんやお母さんまで、心の病気にかかっている方も少なくありません。
そんな状況から、多くの方々に少しでも放射能の風評被害や被ばくストレスによる問題を予防するための学習の機会をもっていただこうと、「心のケア」を中心としたいわき市立久之浜公民館、日本精神保健社会学会、ヘルスカウンセリング学会共催の講演会が開催されました。
講演内容は、
1.放射能の影響について学ぶ
−東電第一原発から一体どのような放射性物質が放出されたのか?
2.放射能の影響について学ぼう−放射能の体への影響と防御法
3.過去の原発被ばく事例から防御法を学ぶ
4.見通しの立たない被ばく災害ストレス、気持ちをラクにするヒント
5.被ばくノイローゼを防ぐ
6.心的外傷後ストレス症状やうつを防ぐ
でした。
講演終了後、子どもを持つお母さんを対象にSATセラピーが実施されました。放射能ストレスは、誤った知識や家族間の不安気質や執着気質の違いで、イザカイが生じ、心の病気が生じやすい状態にあります。今後も本学会は地域の公民館活動、市民のボランティア団体連合に支援をつづける計画にあります。
[現地の反応](以下、FVN:福島ボランティアネットワークより転載します)
2012/09/17 久之浜公民館市民講座「放射能に負けない子どもと家族のストレスケア」
投稿日: 2012/09/17 投稿者: fvnet
皆さん、こんにちは。最近、 鳴りを潜めておりました広報佐藤です。福島ボラネットの方がごぶさたになってしまいました。申し訳ございません。
さて、今回の活動報告は、久之浜公民館の市民講座「放射能に負けない子どもと家族のストレスケア」への運営支援です。ボラネットから7名参加しました。
講師は、筑波大学名誉教授の宗像恒次先生です。また、その他にも、帝京大の滝澤武先生をはじめ、カウンセラーの先生方を含め8名の方がいらっしゃいました。講演のほかに個別カウンセリングもあり、託児室まで準備する徹底ぶり。この時点でもはや市民講座のレベルを超してると思いませんか?恐るべし久之浜公民館
もちろん講座の内容も充実していました。放射能の影響についての基礎知識から、被ばくによるストレスの原因と対策を説明していただき、具体的なケアの方法を実践致しました。特にお子様のいる受講者の方は、お子様への接し方も含め、かなり実践的な講座になったのではないでしょうか。
宗像先生からは参加者の皆さんへと梨をご提供下さりました。瑞々しい千葉の梨は格別です!
私が特に印象に残ったことは2つあります。
(1)「抽象的な不安に対し、現実的な対策を講じること」
原発事故が一向に収束しない状況で生活を余儀なくされているのですから、具体的・抽象的な不安は尽きません。でも生きていかねばならない。その力を与えてくれるのは具体的な行動だと思います。そして今回、具体的な研究結果をもとに「何をすればよいか」と導いてくれたのが宗像先生の講演でした。
(2)「震災や復興は始まったばかりであること」
震災から1年半に際し、私には気がかりなことがあります。それは、「一般社会における復興支援・被災地への関心の低下」です。最近知り合った方から、被災地に住む方の投稿を紹介していただきました。要約すると、宮城県のアンテナショップの売上が昨年の半分近く、という新聞記事があったそうです。この方は、大震災は「忘却の彼方か」と不安に思っていらっしゃいます。
まず勘違いしていただきたくないのは、日本国民は復興支援・被災地に関心を持っています。誰と話をしていても「今どうなっているの?」と関心のある反応があります。しかし、世論においては震災直後ほどの注目度がなくなりつつあります。これは、世論の醸成が、被災地や復興支援以外に向いているのです。(大人の事情で具体的な説明は割愛させてください) 以下略
(佐藤)