「第19回ヘルスカウンセリング学会学術大会」教育医事新聞2012年8月25日掲載
2012年8月25日、教育医事新聞に、第19回ヘルスカウンセリング学会学術大会開催に関する記事が掲載されました。以下に記事内容を転載いたします。
第19回ヘルスカウンセリング学会学術大会 9月、東京
テーマ「ユニバーサルヘルス」
第19回ヘルスカウンセリング学会学術大会が9月15・16日の両日、東京都文京区の筑波大学東京キャンパスで開かれる。大会、基調講演ともにテーマは「ユニバーサルヘルス」。
基調講演を行う会長の宗像恒次・筑波大学大学名誉教授は「従来、健康とは『病気ではない状態』をいい、病気の予防と治療が重視されてきました。しかし、01年に制定されたWHOのICFモデル(生活機能・障害・健康の国際分類)では、病気があっても社会環境を変えればウェルビーイング(良好な状態)を実現できるとし、健康の概念が大きく変わりました。ところが、なかには環境を変えても前向きにとらえられず、健康な状態とはいえない人がいます。つまり、心のありようが変わらなければ普遍的なウェルビーイングを意味するユニバーサルヘルスにはならないのです」と話す。
ユニバーサルヘルスを実現するためには、他人の評価に左右され、悲観的になりやすい人の自己イメージの改善が重要となる。
「その方法として、周囲からの評価や賞賛、好感等の他者報酬型の体験も有効ですが、より効果的なのは自己満足や感謝、共感、尊敬、感動、絆といった自己報酬型の体験です。本大会では、SAT法(構造化連想法)を含めた自己イメージを改善できるアプローチで、すべての人のウェルビーイングを実現する道を討議したい」と強調する。
シンポジウムTでは「世界のユニバーサルヘルスへのSAT介入法」と題し、中国、日本、欧州さらにWebによるSATの取り組みについて4人の専門家が報告する。
同Uの「危機回避から危機学習の支援へ」では危機を予防・回避するのではなく、成長の機会ととらえる支援のあり方について3人の支援者が話し合う。
長年SAT法の普及に尽力してきた宗像氏は「昨年の東日本大震災で家や家族を失った災害サバイバーがたくさんいます。こうした人にこそSAT法は有効です」と話す。
震災以降、学会では被災地でのSAT支援や研修会を実施しており、今後は放射能ストレスに負けない家族づくりを福島県中心に活動を展開する予定だ。